§海 外 通 信(6)

海外に在住の方々からのお便り

第六回目は、オランダからの2度目の便りです。この方は既にオランダで指圧治療院を開業されており、今日に至るまでの経緯を語っておられます。大変に良くまとめて頂いていますから参考になります。

早速、下記の通信の内容をご覧ください。


『こんにちは。前回の便りからずいぶん時間がたってしまいましたが、今回はオランダの指圧事情や私の治療院の様子など少し書きたいと思います。

まず、オランダでは指圧は現在、代替医療(オールタナティブ・メディスン)として多くの保険会社に認められていますので一部保険取り扱いがききます。だた日本と同じで限度があり、一般的には支払った保険額が高いほど払い戻しの額が高くなっているシステムです。

ヨーロッパではこの国と、ドイツは保険取り扱い可能なのは知っていますが、ほかの国はどうか分かりません。少なくとも、フランス、イタリア、スペイン等南ヨーロッパは残念ながら認められていません。

オランダに指圧が伝えられたのは(歴史の授業みたいですが)、割と古く、70年代後半です。デニス・ブリンク氏が日本の指圧専門学校で浪越指圧を学んだあと、オランダで学校を開設しました。

その後、増永先生もヨーロッパ各地で経絡指圧(こちらでは医王会指圧、または禅指圧として知られています)を教えられ、現在ではこの二つの流れのほか、いくつか並存しつつ、全国各地で指圧治療が行われています。

とはいっても指圧の知名度は低く、鍼灸治療のほうが一般的に名を知られています。私の治療院に来る方の大半は指圧は初めての経験です。ただ針を刺されることに抵抗を感じる方も多いようで、代替医療のなかでは、カイロプラクティックやオスてオパシー等の治療院が数多く見られます。

そのほかにも沢山のオールタナティブ・セラピーが数え切れないほどあり、患者の方々は、現在の西洋医学でカバーしきれない部分を代替医療で補っている現状があります。


さて私の治療院ですが、約3年前に開業しました。日本で、すいな療法(中国按摩)の資格を取っていましたが、こちらのの学校で浪越指圧の資格もとり、そして経絡指圧は木村先生のところで学んでいます。まだまだひよっこで、毎日が勉強です。

さて治療にいらっしゃる方の愁訴は様々で、頭痛や腰痛といったものから、重症の慢性病のサポート、あるいは精神的な病を病んでいる方で体の不調のある方など、一人ひとり違います。

昔日本にいたころ、「西洋人は気を使わないから肩こりがない」とか聞いたことがありました。そんなもんかなあと当時は思っていましたが、現実は全く違います。少なくともオランダでは、肩首のこりは沢山のひとが持っている愁訴です。

日本風に気は使わなくても、やはり現代はストレス社会。仕事やプライベートでの悩みで頭がいっぱいになりやすいのはどの国も同じのようです。またなかなか「Noといえない、言いにくい」という声も患者さんからよく聞きます。

これも典型的日本人の問題かと思いきやどっこい。外見は似ていなくても、人間その内部では似ている部分も多いのだな、というのが私の日々の臨床を通しての実感です。

次に私の治療院での治療の様子をお話します。最初に来ていただくときは、インテークを丁寧に行い、クライアント(代替医療では患者さんをこう呼んでいます)の話にとことん耳を傾けます。

慢性疲労症候群や筋繊維痛症などをはじめ、現代医療で原因もわからず、病気が客観的に数字に出ない症状をもつ方は、痛みや苦しみを「まじめにとってもらえる」ということだけでも心に響くようです。

第一回目は、初めての方が多いこともあり、30分ほどの指圧にとどめています。把握圧を中心で、安心してもらうこと、緊張から少し解き放たれてもらうことを主眼にしています。

こんな短い施術でもずいぶん深くリラックスされ居眠りされる方も多く、こちらがびっくりします。どれほど心身が緊張の極に達していたかを思い知らされますね。指圧のあと「こんな気持ちいいい治療は今まで経験したことがない」、「ものすごく深くリラックスできる」ということを皆さん一様におっしゃいます。

もっと指圧が一般に知れていれば、こんなにひどくなる前に施術を受けられたのに、といつも思います。と同時に、これは木村先生のところで学んだ指圧のおかげも多々あり、本当に感謝しています。

こうして約週1回の施術が始まり、大体平均で10-12回くらいで毎週というのは終了し、そのあとは、経絡体操や日常生活で気をつけることなど、私の出来る範囲でアドバイスしつつ少しずつ回数を減らしていきます。3-6ヶ月の月日が経ち(重症の方はもっと長いことも)、施術が終わるころにはクライアントの方との絆のようなものがつくられて、最後は少し感動的な別れになることも。

症状が軽くなることは、心身が、よどんでいた深みから自然治癒力をばねに明るく軽い流れのあるところへ再び浮上してくるプロセスのように感じます。

そのプロセスを通っていった小さな歴史は、クライアントに自信を与え、また本人の心身の声に敏感になる重要な学びでもあります。

年齢や性格にかかわらず、「本気で望めば人間はこんなに変われる、成長できるんだ」ということを日々経験しています。素晴らしいことですね。私も益々成長しないと、とこちらが励まされています。

症状の軽い方、若い方、また心身の柔軟な方はもっと早く回復されることが多いですが、私のところに来るクライアントは何年、何十年も愁訴を抱えながら、適切なセラピーを探していることが多いです。

今日はここまで。次回からは、具体的なケースと治療の様子をお伝えしていきます。

 


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