§指圧百話(18)

指圧を通して体験して来た四方山ばなし


[18] ライザミネリさんのこと(1)

今回から、医王会を離れた辺りからの様子を時間系列を無視して、記憶にある所から順不同に書かせて頂きます。

故・浪越徳治郎氏は生前、何時でも何処でも、何回でも同じ話をされていました。それは、同氏がアメリカの映画女優であった故・マリリンモンローの指圧治療をされた話です。

これは、その当時、新聞なんかでも報じられたりして、多くの方が知っておられた逸話です。それをご本人が繰り得返し、何処でも話しておられたんです。

 

筆者は、その当時の事情を詳しくは知りませんが、マリリンモンローが来日したおりに胃ケイレンか何かで苦しんでいた時に、浪越先生が指圧の治療を施して回復させられた訳ですね。

何故、どういう経緯で浪越先生に指圧の依頼があったのかは存じませんが、以前にも申しましたように、同氏は大変に交際範囲が広い方でしたので、何かの伝で治療に行かれたものと思います。

何しろ相手がその当時の世界的なスターでしたから、浪越先生にとっても一世一代の晴れの舞台だったかもしれませんねぇ。ですから、その後もズーッと語り続けられたのでしょう。


ところで、筆者も嘗て、マリリンモンローほど世界的に有名ではありませんでしたが、ミュージカルスターとして一世を風靡した、アメリカのライザミネリさんの指圧をさせて頂いたことがあるんです。

もう何年前か忘れましたが、ライザミネリさんが始めて日本で公演をすることになり来日された時のことです。

当時、マスコミでも彼女の来日を大きく報道しており、特に入場券が当時として破格の高値で、それが話題になっていました。ですが、筆者はそんなことは余り知らなかったのです。

 

或る日の早朝、アメリカの大橋氏(アメリカで大々的に指圧活動をしている方)から国際電話があり、今、ライザミネリが東京のホテルで体調が悪くて困っているから直ぐに治療に行って欲しいと言われたんです。

寝起きで頭がボーッとしているような状態でしたので、いきなり、そのようなことを言われても、ライザミネリが何処の誰かもピントこなかったんです。

何でも、大橋氏が普段、アメリカで彼女の指圧をしていたので、彼女が東京のホテルからニューヨークの彼に困っていると電話をしたらしいんです。

それで急遽、以前からの面識があった筆者の所に連絡があったと言ぅ次第なんですよ。とにかく急を要するような状態でしたので、頭がハッキリしないまま出掛けたんです。

 

道中、ライザミネリさんは歌手兼映画女優だったなぁ、と彼女のことを考えながら、彼女が泊まっていた芝の方のホテルに着いて、直ぐに彼女の部屋に伺ったんです。

ドアをノックした後、出て来られたのは、パジャマ姿のライザミネリさんでしたが、背が思ったより低いので、あれ~と思いました。

筆者の感じでは、身体全体で歌い踊る姿のイメージがありましたので、もっと長身だと思っていたんです。実際は中肉中背の女性でした。

確かに顔色も優れないようで、体調が悪いのが分かりました。で、直ぐに治療に取り掛かったんですが、筆者もちょっと緊張気味でしたので、何時もと違ってそのままベッドの上で行なったんです。

普通は、ホテルなどで治療する時も、フロワーに毛布を敷いて、そこで行なうんです。ベッドだとフワフワしてやり難いんですよ。


話を聞いて見ますと、彼女は薬や注射が嫌いで、医者に見てもらうよりも指圧の方が好きなんだと言ぅんです。

子役の時代から長い間、芸能界に身をおいて来たので、可なりのストレスやら何やらを抱えて体調も不調のようでした。筆者もおぼろげながら、彼女はアル中だったと言ぅことを思いだしました。

また、自分は子供が欲しかったのに流産をしてしまい残念だったとか、結構、初対面の筆者に個人的なことを話されたので、気取らない方だなぁと言ぅ印象を受けました。

 

筆者としては、ベッドの上に乗って治療するのはやり難いなぁと思いながらも、とにかく全身の治療を行ないました。

でも正直なところ、相手がスターであったことの緊張と、思ったような場所で出来なかったのとで、余り満足できる結果では無かったんですよ。

しかし、彼女は治療が終ると直ぐに、あ~元気になったと言って全身を動かして喜んでくれたんです。そして思わぬことを言ってくれたんでビックリしました。

(つづく)

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