§指圧百話(14)

指圧を通して体験して来た四方山ばなし



[14] 医王会指圧センター(7)

当時の医王会指圧センターでは所員も色々と特色のある方が多かったのですが、治療に見える患者さん達も可なりユニークな方が居られましたよ。

例えば、或る中年の女性などは月に一度ぐらいしか治療に見えなかったんですが、来られた時は必ず2回、治療を受けておられました。

何故かと言ぅと、身体が硬いんです。それが単に表面が硬いと言ぅだけでなく、身体の深部までが硬いような状態でした。

何でそんなに硬い身体をしておられたのかと言いますと、仕事で心身過労があっただけでなく、睡眠不足が重なって、そのようになっていたようです。

 

筆者も何回か彼女の治療をしたことがあるんですが、全身に汗をかきながら治療してみても、何か物足りない顔をされるのが殆どでした。

そして続けて、もう一人の所員に再度、治療を要求されるのが常でしたねぇ。何て言ぅんでしょうねぇ、押しても跳ね返されるような筋肉なんですね。

身体は中肉中背なんですが、ゴムまりのようで深部に圧が通らないと言った筋肉をしておられたんです。本当に治療師泣かせの患者さんでしたねぇ。


また男性の何人かの患者さんとは、単に指圧の治療と言ぅだけでなく、個人的なお付き合いをして頂いた方もあります。

そんな中で、ある中年の男性との出会いは、筆者が医王会を辞めてからも長くお付き合いを頂きました。近年はお会いしておりませんが、噂では脳障害で倒れられたようです。

でも、その当時は大変活動的で、小さい会社を経営しておられました。でも、何時もあっちこっちで人を連れて美食をされていまして、仕事は趣味のような感じを周りに与えておられました。

 

本当は、株の取引で可なりの資産を築かれて、住宅もあちこちに建てたりして、悠々自適と言ぅ感じでした。でも実は、早朝から起きて株の仕事や他のことを、ちゃんとやっておられたんですね。人には仕事をしている姿を見せなかっただけなんです。

この方が後で親しくなってから言われたのですが、最初に医王会に治療に見えた時に筆者が治療をして、その折の筆者の応対が言いたいことをズケズケ言う治療師だなと思われたそうなんです。

この方もズケズケ、遠慮なく言われる方なので、相性が良かったんたど思います。その後も何時も筆者が治療に当たらせて頂くようになったんです。

 

その後は段々に医王会だけでなく、出張治療でお宅に伺うことが多くなったんです。そして治療の後は必ず、何処かに食事に誘って頂くことが多かったですね。

その折には、その方の会社の社員の方も同席されたりすることが多かったですよ。で、ある時に驚いたことがあったんです。

実は、その会社の社員の一人に会ってビックリしたんです。何と、その方は筆者がサラリーマン時代に働いていた会社の同僚だったんです。

まさかねぇ、指圧師になってから昔のサラリーマン時代の同僚に会うとは思ってもいませんでしたよ。

全く、人の出会いは不思議ですねぇ。でも残念ながら、この元同僚の方はその後、ジョギングをされていた時に心臓発作を起して亡くなられたんですよ。まだ若かったんですがね・・・。

さて、もう一人面白い患者さんが居られました。この年配の男性は著名な書道家だったんです。毎週のように奥様と一緒に治療に見えていました。

この方は特別どこかが悪いと言ぅのではなく、体調維持が目的で来ておられたんです。が、それよりも治療が終って帰りに、食事をして一杯やるのが楽しみだったんです。

指圧の治療を受けた後で飲む酒は良く効くので、普段飲む量の半分で酔うから安上がりでいいんだと冗談を言いながら、帰りの一杯を楽しみに治療に来ておられたんです。

この方は何時も同僚の男性所員を指名しておられました。どちらも遠慮なく話をするタイプだったので、意気投合したようでした。


まア、こうした患者さん達だけでなく、当時の患者さんの中には色んなタイプの、特徴のある方が結構多かったですよ。その意味からも面白い時代でしたね。

(つづく)

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